【レポート】大城美佐子×OKI LIVE in 白老 天下無類之良質公演「雪珊瑚」

ウイマム文化芸術プロジェクトにてインターンシップを行なっている、北海道教育大学岩見沢校2年の瀧澤佳奈実です。

12月8日に白老町にて、OKIさんと大城美佐子さんによる音楽ライブ「雪珊瑚」が行われました。100名近い方々にご来場いただきました。

第一部はOKIさんによるパフォーマンス。アイヌ民族に伝わる伝統的な弦楽器「トンコリ」の音が響くと、少しの懐かしさとともにエスニックな雰囲気が会場を包みました。

寒さの厳しい大地を感じさせるまっすぐで乾いたトンコリの音色は、まさに自然の中で強く生きるアイヌ民族を思わせました。雄大な自然に風が吹き抜けて行くような穏やかで爽やかな曲から、熱く燃える炎を思わせるような力強い曲まで様々な曲が披露されました。

特に印象的だった「SUMA MUKAR」という曲は、リズミカルなトンコリの音から軽快に始まり、力強く熱い歌声によって強いメッセージ性を感じました。「SUMA MUKAR」は石の斧という意味で、曲には「人間よ互いに物惜しみするな、重い雫から落ちて行く」という意味の歌詞があり、これには富を独り占めすることなく、みんなで分け合っていこうというメッセージが込められていたように感じました。多くのモノが溢れ、一人でも生きていけるのだと錯覚しやすいこの現代において、助け合うというこの精神を忘れてはいけないと考えました。

第二部の前半は、大城美佐子さんによるパフォーマンスです。「絹糸の声」と評される伸びのある芯の通った歌声に、会場はぐっと引き込まれていました。三線と太鼓によるゆったりとした音楽とまっすぐ自由に伸びる歌声は、沖縄の暖かくのびのびとした生活を思わせます。また、女性の恋の気持ちを歌った歌もあり、女性の思いを歌うその歌声や表情には、恋する女性の魅力と艶やかな雰囲気が漂い、またまた引き込まれてしまいました。

後半には、大城美佐子さんとOKIさんのパフォーマンスが行われました。のびのびと歌う大城さんに寄り添うようにOKIさんのトンコリの音色が響き、会場を魅了していました。

北海道と沖縄、それぞれの音楽の持つ良さが綺麗につなぎ合わされて、それぞれの共通項と言えるのんびりとしてまっすぐ心に刺さるような音楽が生まれていました。互いに信頼しあっている二人だからこそ生み出せる音楽なのだと思いました。最後に近づくにつれ、会場もどんどん一体となっていき、最終的には一つの輪ができたように、ご来場された多くの方々が楽しげにダンスを踊っていました。

ライブ終了後にご来場された方から感想をいただきました。「大城さんの三線によって生まれた沖縄の情景に、北のイメージの強いOKIさんのトンコリの音がどんな風に交わるのかにすごく興味があった。(実際に聞いてみると)OKIさんのトンコリの音色が雄大な大地を思わせ、その演奏の中で大城さんが女性らしく可愛らしい思いを歌っているのが目に浮かぶようで、本当に素敵な時間だった」という感想をいただきました。

北海道と沖縄、北と南。一見すると両者は何も関係がないように思えます。しかし実際に両者を対面させてみると、意外なところに共通項が見つかるんだとわかりました。日本列島の最北と最南で気候も何もかもが違うけれど、お互いに共通するものとして、どちらもゆったりとした穏やかな人間性を持っているんだと気づきました。

一目見て関係がなさそうだからと早々に区別してしまうのではなく、違いを見つけながらも共通しているものを見つけ相互に認め合うことで、ホンモノの信頼関係を築くこと・文化の多様性を認めて新しいものを生み出して行くことにつながるのではないかと感じた時間でした。

ご来場いただきました皆様、誠にありがとうございました。

写真撮影:川尻亮一

ウイマㇺ文化芸術プロジェクト

ウイマㇺ文化芸術プロジェクトは文化芸術を通じた交易・交流の様々な場を人、地域、社会へ創出し、時に地域社会の課題解決への貢献に一躍を担う活動を目指している。上述のウイマㇺの意味解説の中では、初期の対等性と共生の形態を尊重し、多様なアートプロジェクトの展開や地域内外との交易・交流を通じ、期待を込めて現代の「ウイマㇺ」の実践を試みる。