【レポート】「フィールドワークとレジデンス」トークセッション
ウイマム文化芸術プロジェクトでインターンシップを行なっている北海道教育大学岩見沢校2年の瀧澤佳奈実です。
11月11日にNPO法人S-AIRが企画したトーク・セッション「フィールドワークとレジデンス」において、ウイマム文化芸術プロジェクトでアーティスト・イン・レジデンスを行なった森永泰弘さんと曽我英子さん(スカイプ参加)がゲストとして登壇したので、そのレポートをします。
はじめにトークをしたのは、曽我英子さん。白老で行なっていたレジデンスの体験から、白老の魅力や地元の方達との関わり合いについてお話されていました。
アーティストと地元住民がこのようなレジデンスに関わることは、双方にとって大きな挑戦であり、フィールドワークによってできた作品やその感想をお互いにシェアすることが大切だとおっしゃっていました。
次は森永泰弘さん。「音」の違いによる新しい世界地図の制作を目指しており、主に東南アジアにてフィールドワークを行われています。
「伝統とは今である」。森永さんは、今あるモノをどのようにして未来へ「伝統」として受け継いでいくのかという考え方を作品に多く取り入れているそうです。
次は北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターを拠点に研究をしている、社会文化人類学者のエド・プルフォードさんが、土地の文化や生活を調査するための長期滞在の重要性についてお話してくれました。
研究者は文化を持ち込むのではなく、その土地の文化を知るために長く滞在する必要があり、調査のためにも、研究者が身近に住んでいるという状況が地元住民にとって普通になることが重要であるそうです。そして実際に生活することで、その土地の人々が大切にしていることを「見つける」ことが研究へとつながっていくのだとおっしゃっていました。
質疑応答では、まず自分が気になったこととして、「東南アジアの島国の伝統音楽に見られる共通性は、アイヌ文化にも見られるのか?」ということを森永さんに聞けてよかったです。
他にも、会場から「地域の人々と親交を深めすぎたために自身の取り上げたいテーマを扱いづらくなるなど、関係性ができることで作品制作又は研究に困難が生じることはありますか?」という質問が出ました。これに対し、曽我さんは「地元の人々との交流が深まる中で、その人たちがあまり表立って言いたくないことを聞いてしまうこともあり、そういったときは非常に心苦しいが、その事実が重要な情報になる」と答えていました。
エドワードさんは、「立場の違う人(敵対している人)の間に挟まれてしまうこともある。しかし長期滞在を行なっているおかげで、一方と険悪になったとしても関係を再構築していける時間がある」と話していました。
一方、森永さんは、「その地域の人々から、自分が取り入れようとしていないものを逆に取り入れるべきだと言われるなど、距離を置いた方がいいと思っているものに対して、逆に向こう側から提案してくれることがある」と話していました。
その後も、曽我さんから森永さんやエドワードさんに対する質問が出たりして、いろいろな話が聞けてよかったです。
今回のトークショーでは、自分自身にとっても、フィールドワークを行うための様々な視点に触れることができました。ご来場いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
撮影:山本顕史
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