【レポート】パブリック・ミーティング7/22終了!

7月22日に開催されたパブリック・ミーティング。

前日に北海道新聞の「地域の話題」にも取り上げていただき、約60名のお客様にご来場いただきました。

最初にご登壇いただいたのは、加藤種男さん。


前日21日に視察していたポンアヨロ川の河口やアフンルパルなどに触れ、白老に息づくアイヌ文化やアートプロジェクトの必須条件など、いろいろなお話をしていただきました。

「市民の意図を超えて、”こおいうのが欲しかった”と言わしめる」プロジェクト。目標ですね。

次は蔭山ヅルさん。


ご自身がバックパックでアフリカまで旅した時のエピソードに触れながら、「共生の方法」について、「個々人のつながりが大事。自分の隣にいる人と、どう向き合うかということを考える」と話してくださいました。

次は大澤寅雄さん。


ご自身が暮らす糸島にあるAIR(アーティスト・イン・レジデンス=アーティストを一定期間滞在させ、作品制作や調査などをしてもらう取り組み)のことを紹介し、生態系(地域)とビオトープ(AIR拠点)という観点でお話してくださいました。

「生物多様性が確保されているほど変化に耐えられる」という言葉に照らし合わせ、文化多様性の大切さを考える時間となりました。

1部の最後は、ウイマム文化芸術プロジェクトの事務局長も務める柴田尚から、AIRについての紹介を。


8〜9月にかけて、白老でもAIRプログラムが実施されます。9月に展覧会を開催予定なので、成果をぜひご覧いただければと思います。

休憩を挟んで、2部の冒頭はウイマム文化芸術プロジェクトのディレクター木野がプロジェクトを紹介。


プレゼンの内容を踏まえて、ゲストの方から感想や意見をもらいます。

まずは、木野が話した「これからやっていきたいこと」について、加藤さんからは「こんなにたくさんやらない方がいいと思う」という率直な意見が。さらに、「地元の人たちが、ここに住んでいて気持ちが良いと思う状態をどう作るかが目的。観光資源として役立てるという発想はなくても良い」と話します。

蔭山さんからは、「住民とは誰のこと?」という貴重な視点が提示されました。

アートプロジェクトに好意的な人たち、町の取り組みに協力的な人たち、だけが住民ではなく、それに反対する人や、ある意味アンダーグラウンドな位置にいる人たちも住民で、その人たちの声はどのように吸い上げることができるのだろうか?

また、自身の活動について「期限のない、終わりのないプロジェクトだからこそ、いろんな人たちと長い付き合いができている」と話してくださいました。

「アートでどうやって地域に貢献できるか?」という部分では、1部でワインとアートを組み合わせたプロジェクトを紹介した柴田から、「無理やり組まされるのではなく、みんなで共通で上げるバルーンがあって、このバルーンだったらみんなが見てみたいと思う状況を作れたらいいな、ということはよく考える」と応答がありました。

続いて来場者からも、ご自身がどんな活動を白老でされているか、今後どんなことを期待するかなど話していただきました。

今年3月までアイヌ民族博物館で働いていた方は、「魅力ある地域を文化の切り口の中で紹介することがミッション」と自己紹介。「今後も地域の方との取り組みを大切にしながら、白老の人たちとつながっていきたい」と話してくださいました。

次は、神戸と白老に住んでいるというバーバラさん。

「郷土文化、地元に深く根をはる文化を守ってほしい」と話します。

こちら↓は、役場で働きながら地元学という活動をされている安藤さん。

白老の「カタ」を調べる活動をされているそうです。料理の作り方、食材の取り方、活かし方、楽しみ方を学び、仲間と楽しみながら、次の世代に伝えていきたいと話してくれました。

最後に2部の進行をしてくださった大澤さんから、パブリックミーティングのテーマである「共生の方法」について補足がありました。

大澤さんのアイデアで決定したこのテーマは、ユネスコ総会で採択された「文化的多様性に対する世界宣言」の一節、「文化とは、特定の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴をあわせたものであり、また、文化とは、芸術・文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値観、伝統及び信仰も含むものである」から使用したものです。

大澤さんはそのことに触れて、「僕はいつも、文化とは、ということを考えた時に、この一節の共生の方法という言葉をよくユネスコはいれたなと思う。さっきの安藤さんの白老のカタ、釣り方、楽しみ方、そのカタが共生の方法だと僕は思う。一緒に生きる方法、生き方、共に生き方を考えるということを、今日は話せたような気がするので良かったなと思います。9月にもやりますので、この話の続き、さらに展開した話をできればいいなと思います」と話してくださいました。

私たちにとっても、次年度に向けた仲間づくり、どこに重点を置いてプログラムを構成するかなど、多くのことを考える良い時間になりました。ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。

アンケートから、いくつか参加された方々の声を抜粋してご紹介します。

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・自分の中で心に留めておきたいヒントやワードがたくさんありました。これを聞いて今後の自分の日々にも活かしていきたいと思います。(白老在住・30代男性)

・4名のパネリストの方々のお話、大変興味深かったです。なかなかお話を聞けるような立場の方々ではないので、参加してよかったと思います。意見交換では、白老町民のいろんな活動をされてる方のお話も聞けてよかったです。(白老在住・30代女性)

・故郷の白老に何十年ぶりかに住むようになり、白老が好きになり、白老のために何かしたい、でも何から始めたら良いのか?一人じゃできない…そんな思いでここ何年か過ごしてきたので、今回ついにこのような機会ができたかという思いです。(白老在住・50代男性)

・「歩く白老」に参加して今日のことを知り、参加しました。白老のこれからをいろいろと話し合いできる場を作ってくださったことを嬉しく思います。白老町民がたくさん参加してほしいと思いました。(白老在住・60代女性)

・行政サイドの参加でした。町のために何ができるのか、これからこのプロジェクトを通じて面白いことをやりたいと思います。(白老在住・30代男性)

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第2回は、11月18日(飛生芸術祭2018最終日)の14:00〜17:00に飛生アートコミュニティー 体育館で開催です。

※詳細はこちらをご覧ください。

写真撮影:川尻亮一


ウイマㇺ文化芸術プロジェクト

ウイマㇺ文化芸術プロジェクトは文化芸術を通じた交易・交流の様々な場を人、地域、社会へ創出し、時に地域社会の課題解決への貢献に一躍を担う活動を目指している。上述のウイマㇺの意味解説の中では、初期の対等性と共生の形態を尊重し、多様なアートプロジェクトの展開や地域内外との交易・交流を通じ、期待を込めて現代の「ウイマㇺ」の実践を試みる。